「"ギモン”から逆引き!決算書の読み方」(著・南 伸一)という本があります。
イラスト付きで、実例を示しながら説明してくれているのでかなり読みやすく、理解もしやすいです。
この本を基に、日本のメガバンク・三菱UFJフィナンシャルGと三井住友フィナンシャルGの2020年3月期の決算書を比較してみました。
- 決算書の読み方を勉強したい方
- 決算書の読み方に関する本を探している方
そんな方の助けになればと思います。
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8項目で比較!
1.経常利益が多いのは?
三菱UFJフィナンシャル・グループ
経常利益
「営業利益」に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引くことで算出できます。
資金調達力や資金運用力も加味した利益です。
損益計算書に書かれているはずなので、わざわざ計算する必要はないです。
- 三菱:1,235,770 百万円
- 三井住友:932,064 百万円
三菱UFJに軍配が上がります。
2.売上高経常利益率が高いのは?
三井住友フィナンシャルグループ
売上高経常利益率
「経常利益」を「売上高」で割って算出します。
会社力、組織力の高さを計ることができます。
銀行の場合、「売上高」やいう項目が損益計算書に書かれていません。
今回は、「売上高」=「経常収益」で計算しました。
- 三菱:1,235,770÷7,299,078=16.9%
- 三井住友:932,064÷5,314,313=17.5%
若干、三井住友FGの方が高く、経営が上手にできていると言えます。
3.売上高営業利益率が高いのは?
三井住友フィナンシャルグループ
売上高営業利益率
「営業利益」を「売上高」で割って算出します。
収益性の良し悪し、効率よく稼げているかどうかが分かります。
銀行の場合、「営業利益」という項目も損益計算書に書かれていません。
今回は、
「営業利益」=(「資金運用収益」+「役務取引等収益」+その他業務収益」)-「営業経費」-「貸倒引当金繰入額」
で計算します。
- 三菱:3,407,561÷7,299,078=46.7%
- 三井住友:2,983,793÷5,314,313=56.1%
こちらも三井住友FGの方が優秀です。
4.投下資本に対してより儲かっているのは?
引き分け(わずかに三井住友)
ROA(総資本利益率)
「経常利益」を「総資本」で割って計算します。
- 三菱:1,235,770÷336,571,379=0.37%
- 三井住友:932,064÷219,863,518=0.42%
ほぼ変わらない、というか両社ともとても低いです。
銀行のビジネスモデル上これは仕方がないようです。
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5.借金の負担が少ないのは?
引き分け
自己資本比率
「自己資本」を「総資本」で割った自己資本比率で比較します。
高ければ、借金は少なく安全な企業と言えます。
- 三菱:4.8%
- 三井住友:4.9%
これもROAと同様に両社ほぼ同じで、低い水準となっています。
理由も同じです。
ただし、銀行の場合は、自己資本比率に下記のような条件があるそうです。
海外業務も行う銀行:8%以上必要
6.設備を有効に活用しているのは?
引き分け
総資本回転率
「売上高」を「総資本」で割った総資本回転率で比較します。
会社の資源を有効に活用できているかどうかを判断します。
- 三菱:7,299,078÷336,571,379=0.02 回転
- 三井住友:5,314,313÷219,863,518=0.02 回転
両社変わりません。
他の業種に比べ、とても低いです。
7.キャッシュが増えているのは?
三菱UFJフィナンシャル・グループ
現金及び現金同等物の増減額
キャッシュフロー計算書の中に書かれている項目です。
- 三菱:4,128,739 百万円
- 三井住友:2,976,764 百万円
三菱UFJの圧勝です。
利益をきちんとキャッシュの増加につなげることができています。
8.積極的に投資をしているのは?
引き分け(?)
固定資産の取得による支出
ひとつにはキャッシュフロー計算書の「投資キャッシュフロー」の中にある「固定資産の取得による支出」という項目を確認します。
- 三菱:127,176 百万円
- 三井住友:103,052 百万円
これだけでは三菱UFJの方が投資に積極的なように見えます。
有形固定資産
もうひとつの比較方法として、貸借対照表の「有形固定資産」も確認してみます。
- 三菱:1,319,789 百万円
- 三井住友:1,450,323 百万円
貸借対照表からは三井住友FGの方が有形固定資産が多いようです。
きちんと比較するには、何年か分を引っ張り出して比較したほうが良さそうです。
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比較結果!
なんと、両社2勝2敗4引き分けとなり、トータルで引き分けとなりました。
所感としては、三菱の方が堅実ですが、三井住友の方が上手な経営で利益を生み出しているという感じでしょうか?
あとは、今後の方針、配当利回り、買いやすさなどを考えて、投資するかどうかは各自の責任でお願いします。
感想
「"ギモン”から逆引き!決算書の読み方」では、決算書から読み取れることをもっと詳しく、分かりやすく説明してくれています。
今回初めて実践してみましたが、銀行はすんなりと読むのが難しく、初めてやってみるには会社のチョイスがあまりよくなかったかもしれません。
何度も読み直し、もっと投資に詳しく、そして上手な投資をしていきたいものです。